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『ザ・ロード アメリカ放浪記』を読んだ感想

2024年6月3日

tags: literature

19世紀末、ホーボー(放浪者)としてアメリカを旅した作家ジャック・ロンドンの冒険記だ。

大恐慌時代のアメリカでは失業者が増加し、ホーボーとして定職に就かず旅をする者が多くいたという。

ホーボーの移動手段は主に列車の無賃乗車であり、制動手や機関士の目を掻い潜りやり過ごすことが重要だ。

ホーボーたちは追跡者との鬼ごっこで一人また一人と脱落していく。そんな中、プロであるジャック・ロンドンはどうすれば逃げ切れるのか、やり過ごせるのかを経験の中で心得ていた。

彼はただ放浪してるだけで簡単に逮捕され、刑務所での描写が始まったりする。そこには経済の縮小版があり、またしても彼はここでの生き残り方を知り実行していく。

ホーボー達は旅の中で通り名をつけられることがある。彼はセイラー・ジャックという名で知られていたようだ。

たまに行動を共にする仲間が現れるが、別れも突然やってくる。飽くまで一人の冒険であり、それが自由であることをより際立たせる。

彼の冒険記は、当時多くのアメリカの若者に読まれ、影響を与えたという。

ジャック・ケルアックの『オン・ザ・ロード』は、この本から多分に影響を受けている。

読む限りではホーボーの生活は、列車での逃亡と寒さへの対処、また警官から逃げること、そして物乞いをすることによる食糧の確保など決して楽なものではない。

しかし、この旅には日常では中々起こり得ない事件と、危険によって得られる自由な日々があった。

かつての人々が憧憬を持ったのも頷けるかもしれない。

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