2026年1月3日
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現状の進歩史観的価値観では人類の生業形態が段階的に現文明まで発達していったというイメージが強い。しかし、実際には狩猟採集民が農業による生産手段に移行したことを進歩と捉えることは誤った認識であるという。
生業形態は周辺の獲物や果実、気候や時季、敵や国家による支配や衰退といった環境変化により、農業をやめて狩猟採集や遊牧民としての生業を選択し直す混合戦略を採用していた。つまり狩猟採集から農業への不可逆な生業形態の進歩ではなく、それは環境によって可逆的に変更されるものであった。
また最初期の国家は勃興するも、民の効率的な包摂が難しく、簡単に崩壊していく。崩壊後は村落やバンドといった社会単位に散らばり、民はその時に国家の徴税を前提とした生業から脱しその環境に適した生業戦略を取ることになる。こうした流れがあるため、国家の崩壊や繁栄による『暗黒時代』や『黄金時代』という概念は飽くまで支配層、国家側の視点であることが分かる。
国家が衰退しやすかった原因として人が集合することによって拡大していく伝染病や、穀物コアが集中することよって国家周辺のいわゆる『野蛮人』と定義された人々の収奪による脆弱性が挙げられていた。そのため、国家は国家周辺の『野蛮人』と貿易的取り決めを結ぶことで収奪を逃れるという共生関係を図っていた。こうした関係性は実質国家による支配が逆転し、最初期の国家がいかに効率的に民と周辺環境を支配し繁栄を留めるのが難しいのかを表している。
最初期の国家の成り立ちを少し知ることで、現代に国家というものが存在し、分業によって市場を成立させ、税を払うことで保証を得るといった社会形態というものが、人類にとって普遍的な生業戦略というわけではないと認識できた。